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20164/23

神木隆之介と門脇麦が分断された世界を生き抜く初共演映画『太陽』。監督は『SR サイタマノラッパー』シリーズの入江悠。

『劇場版 神聖かまってちゃん』、『ジョーカー・ゲーム』の入江悠監督の新境地にして最高傑作!神木隆之介・門脇麦共演の近未来ディストピア問題作『太陽』が4月23日(土)より全国順次ロードショー!!あなたならどっち側を選ぶ!?

近未来。世界は昼に生きる旧人類「キュリオ」と、夜に生きる新人類「ノクス」に分断されていた。

新型ウィルスによって人口の大半が死滅した世界。

生き残ったわずかな人々は、人間本来の感情を失う代わりに健康な肉体・高度な知能・強い理性を得た新人類ノクスと、ノクスに管理されて貧困を強いられている旧人類キュリオに分かれて暮らしていた。

 

ノクスの社会は平和と秩序が保たれ、争い事がなく、誰もが裕福で幸せに暮らしている。

一方、キュリオの社会は常に争い事が起きており、貧しく不自由な生活を送る者ばかり。

 

支配する側と支配される側の対立を描いた近未来SF映画は枚挙にいとまがない。

この手のディストピア映画(ユートピアとは真逆の未来を描いた映画)は見飽きたという人も多いはずだ。

しかし、本作『太陽』はそれらの映画とは一線を画している。

単なる娯楽作品になってしまわず、非常に強い問題提起を投げかけるシリアスな内容になっているのだ。

 

それでいながらホームドラマであり、恋愛映画であり、青春映画でもある。

劇団イキウメの傑作戯曲が、ここに傑作映画として生まれ変わる。

 

 

観ていくとだんだん気づく、今までのSF映画になかった不思議な感覚

これは本作『太陽』を推薦する最大の理由でもある。

 

ディストピア映画のほとんどは、支配される側の目線で描かれるため、支配する側を「敵」、「悪者」としている。

本作も例に漏れず、支配される側が主人公の映画だ。

どんな悪い支配者たちが登場するのだろう?と身構えたが、意外や意外。支配する側の人間で悪人と呼べる人間は一人も登場しない。

むしろ、この映画に登場する「嫌なやつ」は、その全員が支配される側に属している。とてもユニークな設定で新鮮さを感じた。

 

支配される側であるノクスは、僕たちとまったく同じ人間である。

感情的で、本能的で、ときに病気を患ったり、笑ったり、怒鳴ったり、泣いたり、自分勝手な行動をしたり…そう、キュリオとは僕たち自身のことなのだ。

だからこそ、鑑賞者は必然的に彼らに共感したり、親しみを感じる。

 

ところが、物語が進むにしたがって、次第に鑑賞者はキュリオ(=つまり人間という生き物)に対する不信感や嫌悪感、疑問を感じずにはいられなくなる。

「僕たちはいったい何をやっているんだろう…」と。

かと言って、支配する側であるノクスが魅力的に、善として描かれるわけではない。

 

鑑賞者は最終的にある1つのクエスチョンにぶち当たる。

「自分ならどっちが良いか?どっちを選ぶだろう?」という究極の問いだ。

 

 

後世まで語り継がれるであろう、壮絶すぎるクライマックスの長回し

もう圧巻の一言である。手放しで賛辞を贈りたい。

 

長回し(長時間をノーカットで撮影する技法)で有名な入江悠監督と、若手随一の撮影監督である近藤龍人。この2人の相性がこんなにも良かったとは。

まるで今年2年連続でアカデミー賞の監督賞を受賞したアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥと3年連続で撮影賞を受賞したエマニュエル・ルベツキの黄金コンビを彷彿させる。

近藤龍人は山下敦弘監督の兄弟分的存在で、近年では『桐島、部活やめるってよ』や『横道世之介』などで知られる撮影監督。入江悠監督とは同世代である。

 

5人の登場人物を容赦なく襲う5つの悲劇…。1つのスクリーンの中で5つの描写が独立して進行しながらも、うねりながら絡み合っているのだ。

 

思わず息を呑んで釘づけになってしまう、すさまじい修羅場である。

島国根性やムラ社会と揶揄される、この国の嫌な部分も凝縮されており、否応なしに複雑な心境に陥ってしまう。

このシーンのインパクトは本当に強烈だ。いつまでも心に余韻というか傷痕を残す、そんな力強さがある。

視覚と聴覚と精神面、そのすべてをフルで刺激してくれる…これこそが映画という総合芸術の醍醐味ではないだろうか。

是非とも劇場に足を運んで感動してほしい傑作だ。

 

作品情報

監督・脚本:入江悠

原作・脚本:前川知大

出演:神木隆太郎/門脇麦/吉川雄輝/綾田俊樹/水田航生/高橋和也/森口瑤子/村上淳/中村優子/鶴見辰吾/古舘寛治

 

関西での公開情報

大阪:シネ・リーブル梅田 4/23〜

   ユナイテッド・シネマ岸和田 5/21〜

京都:MOVIX京都 5/7〜

神戸:神戸国際松竹 5/7〜

©2015「太陽」製作委員会

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