- WRITER /
- きくりん(菊永 喬)
- CATEGORY /
- 音楽
20168/28
結成12周年アニバーサリーライヴへ。新旧すべての要素を詰め込んだA9の現在地インタビュー
A9の結成12周年ライブツアーへ向け、メンバーの将、沙我、ヒロト、虎、Naoへのインタビューを行った。

無駄を削ぎ落とした最新EP「LIGHT AND DARKNESS」は彼らが現在、旬だというR&BやダンスミュージックのテイストをA9流に取り入れた意欲作。8月には結成12周年のアニバーサリー・ライヴが控えている彼らが考える、これからのサウンドやバンド将来について語ってもらった。
A9インタビュー
新旧すべてを噛み砕いて、未来を提示できるようなライブなればいいと思っています
--最新EP「LIGHT AND DARKNESS」ですが、スタイリッシュというか洗練された印象を受けましたが、意識した部分はあったのでしょうか?
将:バンド名が変わるタイミングでのEPだったので、A9って何なのかをちゃんと定義できる、はっきりとした目的意識がある作品にしようと考えていました。特にスタイリッシュにしようとは意識はしていなかったのですが、ディスコ・ロックというか、グルーヴを大事にした曲作りをしようと心掛けました。
沙我:(バンド名を変更するからといって)すべてを新しくしようとは思わなかったですが、半分は新しくしようと考えていました。サウンド面では音で空間を埋めないように意識しています。ちょうどR&Bとか黒いグルーヴが僕らの中で流行っていて、隙間のある音楽に魅かれている時期だったので、自分たち流ですがチャンレンジしてみました。スタイリッシュって無駄がないってことだと思うので、そういう意味でサウンドもシンプルというか余分なものを削いでいっています。
--確かにメンバーそれぞれがどんな音を出しているのか、はっきりわかるようなサウンド作りですね。
沙我:ビジュアル系って見た目もそうですけど、装飾してナンボな部分ってありますよね。音楽的にも最初は隙間がないような感じだったんですけど、そこから徐々に進化していきました。前作のEP「銀河ノヲト」はバンド・サウンドのみで勢いを重視して、コードもパワーコードでバーン!みたいな音だったので、その反動もあってか、今回は力まず、無理もせず必要最低限の音で聴かせようと思いました。
--ギターサウンドも歪みというよりは、クランチやクリーンを重視していますね?
ヒロト:コンセプトの時点からそれは考えていて、意図的にいわゆるディストーション・サウンドは使わないでいこうと。これまでもクランチやクリーンを重視していたこともあったけど、ここまで振り切ったのは初めてですね。(バンドの歴史の中で)途中、ハードロック的な要素を取り入れていた時期もありましたが、もともとは、そんなに(ハードロック的な面に影響を)受けていないので、作ってみてですけど、原点に近づいた感覚もあります。
--EPのタイトル「LIGHT AND DARKNESS」ですが、リリース前の4月~9月に同タイトルのツアーをしていますね?
将:僕らはロックバンドなので、先にライブありきだと思っているんです。じゃあ、どんなツアーにしようかと考えたときに、A9のようなバンドは世界観を深く伝えることも大事だし、その一方で、みんなと一緒にグルーヴを作ってエンターテインメントなロックショウを観せることも大事な要素だと。じゃあ、その両方を伝えるにはどうしたらいいか?と出した答えが「LIGHT AND DARKNESS」ツアーでの二部制ライブだったんです。映像を使いながらセッションを重視したステージと、いつも通りにきらびやかな照明でワーッと盛り上がっていくライブ、「光があるから陰があり、陰があるから、より光が輝く」そういったふたつの要素を振り切って演っているうちに、どっちが「LIGHT」でも「DARKNESS」でもどうでもよくなってしまったんですけど(笑)。このツアーが音楽面も含めてバンドの転機になったのは確かです。
--EP「LIGHT AND DARKNESS」のレコーディングで意識したことがあれば教えてください。
虎:今回はサウンドがほとんど歪んでいないので難しかったです。クリーンやクランチのサウンドって誤摩化しが効かないので粗さが目立つんです。だから録るときには気を使いました。音作りも、できるだけ空気感が出るように、そして懐かしさや古さを感じる音に近づけようとしました。ギターって(理想の音に)近づけるのが大変で、なかなか自分が思ったとおりのサウンドにならなくて。それでも自分の納得できるところまで追い込むことは出来ました。
ヒロト:ずっとライブと録音した作品との音のギャップが気になっていたんです。レコーディングではいろんなギターを使ったり、いろんな音色を使ったりしていましたが、今回は自分がライブで使っている機材だけで(レコーディングを)やり切ろうと。ギターはメインを1本、アンプもライブで使っているものをそのまま使いました。何気に12年バンドをやっていて初めての方法でした。
将:これまではハードロックというかメタルっぽいアプローチの作品が多かったんです。今回はR&Bまではいかないまでも、そういった匂いのする感じの作品だったので、発声の仕方を変えて、マルーン5のアダム・レヴィーンのようなファルセットが柔らかく聴こえるトーンを意識しました。今はそういうベクトルなのかも知れないですね。
沙我:ギターが隙間を活かしたプレイが多い分、リズムのパートがすごく見えてしまうんです。すでに自分のベースのスタイルは出来上がっていますが、そんな中でも今回は休符をかなり意識してプレイしました。僕はベース単体というよりは、全体のサウンドが見えてから自分のフレーズを組み立てるタイプなんです。自分でもあまりベーシストという感覚がなくて、どちらかというとコンポーザー的な意識でやっているのかも知れないです。
Nao:今回も大変でした。常に出来ることを楽をせず、精一杯向き合って作れているとは思っていますけど。今までよりは肩の力を抜いて力まずに、オープンなサウンドというかタイコの鳴りを気にしました。低音重視の作品ではないので、ドラムも軽やかな感じでいいかなと。
--8月には12周年のアニバーサリー・ライブがありますが、タイトル(※)も意味深い感じですね?
将:ライブのタイトルは2004年に自主制作で出していた初めての音源のタイトルです。12年活動してきて、応援してくれるファンの中にも僕らに対して熟れてしまっている部分もあると思うんです。僕らもバンド名もA9に改めて、一から頑張っていきたいという気持ちも持っていますし、応援してくれている人たちと一緒にもう一度上を目指していきたい、そういう想いを伝えたくて、初期(2004~2005年)の曲だけでライブを演ってみようと。昔の曲を今の僕らの解釈で演ってみるのも面白いんじゃないかって。
--それでは最後にアニバーサリー・ライブに向けての意気込みを
虎:過去の楽曲を演ることに対する期待値がデカいと思うんです。当時の曲を演奏することは出来ても当時のままを届けるのは不可能。でも成長した姿に加えて当時の勢いを持ってステージに立てればと思っています。過去の自分たちに負けないようなパフォーマンスが出来ればと。
ヒロト:気分的には事務所から独立して新しいスタートを切ったこともあって、10代の頃のようなギラついた感じでいます。そのテンション感を応援してくれている人たちと一緒に味わいたいです。
沙我:12年前の楽曲だけでライブを演やるとなると、懐メロ的になってしまう危険もあるので、今の僕らを観せれないとダメなんです。ライブに来てくれた人が、これから先のA9を想像できるように、そして久々に来てくれた人にも一泡吹かせられるようなライブにしたいです。
Nao:今の自分たちが12年前の楽曲を演奏することで、当時理解できなかった部分がわかったり、いろいろな発見があると思います。ライブに来てくれる人にも同じように感じて欲しいので気合いを入れて頑張ります。
将:自分たちと出会ったときのことを思い出して楽しんでもらえればいいと思う反面、今のA9のファンの人が観ても良いと思えるようなライブでないと意味がないんです。新旧すべてを噛み砕いて、未来を提示できるようなライブなればいいと思っています。
--ありがとうございました。
※ A9 XII ANNIVERSARY LIVE"NO NAME" -名前は未だ無い-
公演情報
①「A9 XII ANNIVERSARY LIVE "NO NAME" -名前は未だ無い-」
日程:8月28日(日)
時間:開場16:45/開演17:30 ※開場/開演は変更になる可能性がございます。
会場:STUDIO COAST
価格:スタンディング 6,480円(税込)
出演:A9
チケットの購入:Yahoo!チケット
http://tickets.yahoo.co.jp/tour/00001223/
②「V-NATION」
日程:2016年8月1日(月)
時間:開場14:00/開演15:00 ※開場 / 開演 は変更になる可能性がございます。
会場: 国立代々木競技場 第二体育館
価格: 3,200円 (税込・座席指定)
出演:AKi / A9 / MERRY / Plastic Tree / Psycho le Cému (※アルファベット順)
チケットの購入:Yahoo!チケット
http://tickets.yahoo.co.jp/tour/00001183/
V-NATIONオフィシャルHP:http://www.v-nation-2016.com/
A9 オフィシャルホームページ:http://a9-project.com/
インタビュー:西沢フミタカ
編集:菊永喬
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