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20164/2

アカデミー賞・長編アニメーション部門ノミネート!!アニメ映画の歴史を更新する革命的作品『父を探して』を体験せよ

アヌシー国際アニメーション映画祭での受賞を始め、世界中で44個の映画賞を受賞した『父を探して』が、4月2日(土)よりシネ・リーブル梅田にて公開スタート!

アニメ映画祭として世界最大規模、最高権威をほこる「アヌシー国際アニメーション映画祭」で最高賞と観客賞をW受賞した作品

 

『父を探して』を一言で評価するなら「鮮烈」、これに尽きる。

色鉛筆、クレヨン、油絵具、コラージュを自由自在に融合させた、斬新かつ挑戦的なアニメ映画だ。

なんと全編が手描き。まるで「動く絵本」を読んでいるかのような、不思議で新鮮な感覚を与えてくれる。

 

とにかくカラフルでサイケデリック。

幾何学模様で始まり、幾何学模様で終わる本作。

本編中盤にも万華鏡が登場するなど、やたらと「幾何学」をあしらった演出にこだわっている。

 

全編を彩るすばらしすぎるサウンドトラック

ブラジル音楽シーンを代表するアーティスト3組が参加。

 

・GEM(グルーポ・エキスペリメンタル・ヂ・ムジカ)・・・6人組のパーカッション・グループ

・バルバトゥーキス・・・12人編成のボディ・パーカッション&コーラス・グループ。

・ナナ・ヴァスコンセロス・・・パーカッショニスト(2016年3月9日、癌により急逝。享年71歳。ご冥福をお祈りします。)

 

電子音を使わず、生音と生声にこだわったサウンドトラックは、手描きの絵と相性抜群。

優しさや温かさを感じさせる、イキイキとした質感を増幅させている。

 

衝撃の結末が胸をしめつける

『父を探して』には台詞が一切ない。厳密に言うと台詞らしきものはあるのだが、架空の言語が使われており、字幕や説明はまったくない。

それでも理解できるように、物語の粗筋はいたってシンプルだ。

 

両親と一緒に幸せな暮らしを送る少年。しかし、ある日。父親は出稼ぎに出るため、列車に乗ってどこか遠くへ行ってしまう。

少年は父親を追って旅に出るのだが、その先には容赦ない社会の現実が待ち受けていた。

非情な労働者搾取の実態、大都会の喧騒、加速する工業化と軍国主義…。少年はそれらを次々と目の当たりにしていく。

過酷な旅路の果てで、少年を待ち受ける結末とは!?

 

こう書くと、何ともありきたりな、使い古されすぎて陳腐とも思えるプロットである。ところがどっこいである。

ネタバレになってしまうので書くことはできないが、ほとんどの観客はクライマックスで大きく想像を裏切られるだろう。

少年の旅の真の意味を知ったとき、あなたはきっと動揺を隠せないはずだ。

 

各方面で議論噴出中!作品に込められた深遠な哲学的メッセージ

前述の通り、なぜ本作が「幾何学」や「万華鏡」といった曼荼羅的世界観にこだわるのか。

それは作品の持つメッセージ性がそれ(曼荼羅的世界観)であるからに他ならない。

 

映画の冒頭とラストを飾る幾何学模様のシーンに注目したい。

このシーンで描かれるのは「胎蔵界曼荼羅」と同じ世界観である。

胎蔵界曼荼羅は中心に大日如来という仏様がいて、その周囲を数百もの諸仏が囲んでいるという、曼荼羅の中でも最もポピュラーなものである。

 

この曼荼羅は読んで字のごとく、大日如来の胎内の様子を表現したものであり、即ち中心にいる大日如来の中にも同じ世界が広がっており、それはマトリョーシカ人形のように続いていく。内側に続いていくだけではない。外側にも同じように続いていくのだ。そういう世界観が胎蔵界曼荼羅の根底にある。

 

これは「ホロン」という哲学思想と共通するが、実はそっくりそのまま宇宙の構造と同じである。

原子の中に原子核があり、原子核の中に陽子と中性子があるように…。恒星系が銀河系の一部で、銀河系が銀河団の一部のように…。

 

この映画の原題は『少年と世界』である。これは言わば「ONE & ALL」を意味する。

あらゆる小さな「個」によって「全て」というのは成り立っている。両者は表裏一体である。

言い方を変えればこうだ。ちっぽけな「個」には意味なんて何もないように思えるが、その「個」がなければ「全て」は成り立たないということだ。

実際に映画を鑑賞してもらえば分かると思うが、そういうことを示唆する描写が実に多い。

 

この映画を観終わって何を感じるかは千差万別だと思う。

ただし、アレ・アブレウ監督が「ポジティブな意味を込めて作った」と語っていることを忘れないでほしい。

 

どんな「個」も、数え切れないドラマを内包した「全て」なのだ。

 

高度な芸術性と、強烈な社会性の融合

『イエロー・サブマリン』、『ファンタジア2000』、『ウェイキング・ライフ』、『マインド・ゲーム』、『かぐや姫の物語』、『コングレス 未来会議』のような前衛的なアニメ映画のファン、

ゴッドフリー・レジオ監督によるカッツィ三部作(『コヤニスカッツィ』・『ポワカッツィ』・『ナコイカッツィ』)やロン・フリック監督による『BARAKA』と『SAMSARA』のような台詞のないドキュメンタリー映画のファンの方は必見。

 

アレ・アブレウ監督は宮崎駿と高畑勲からの影響も公言しており、ジブリのファンも見逃せない。

 

関西地区での公開情報

大阪:シネ・リーブル梅田  4/2(土)〜

京都:みなみ会館      近日公開

神戸:元町映画館      近日公開

 

監督:アレ・アブレウ

音楽:グスタボ・クーラート/フーベン・フェフェール

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