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香港電影金像奨 最優秀主演女優賞受賞のノンフィクション・ヒューマン・サスペンス『最愛の子』

常軌を逸した中国社会の病巣をえぐり出す問題作にして、親子の絆のあり方を問いかける骨太ヒューマン・ドラマの傑作『最愛の子』が遂に大阪にも上陸!ヴィッキー・チャオが最優秀主演女優賞も受賞。

親の子どもに対する愛...子どもの親に対する愛...愛の深さは同じだろうか?

 

演技派としても、お騒がせ女優としても知られる人気女優ヴィッキー・チャオが鬼気迫る渾身の演技で、香港電影金像奨や香港電影評論学会大賞の最優秀主演女優賞を受賞した、重厚で心にグサリと刺さるヒューマン・ミステリーの傑作が、本作『最愛の子』です。

 

約2時間の物語のうち、前半1時間はハラハラドキドキ...!手に汗にぎる衝撃的なサスペンス、そして後半1時間はずっしりと心に響く、親子の愛と絆を描いた白熱の人間ドラマが描かれます。

 

全編を通して大袈裟なドラマ的演出が省かれ、リアリティを重視した方向性になっているので、ぐいぐい引き込まれます。辛辣で悲しくて心苦しいテーマにもかかわらず、とてもポジティブなパワーで満ちあふれていて躍動感さえ感じるほどです。

どんな状況のシーンだろうと、さりげなくユーモアが織り交ぜてあるんですが、それが絶妙なアクセントとして効いていますね。

 

 

誘拐犯の妻役ヴィッキー・チャオの純粋無垢すぎて凶器のように鋭利な、どこか危なさすら感じる演技は少し怖くもありましたが、父親役ホアン・ボーの演技もとても印象に残りました。

 

ホアン・ボーは5週連続で中国1位の興行成績を記録し、中国の2013年の年間興行成績で第1位という大ヒットとなった『西遊記 ~はじまりのはじまり~』で孫悟空を演じた俳優なんですが、ものすごく人情味あふれる熱演でした。

こんな演技もできる人だったんですね。恥ずかしながら孫悟空のイメージしかありませんでした。

 

なぜ中国では子どもの誘拐が多発するのか

この映画で描かれるのは年間20万人もの子供が行方不明になっている(つまり毎日約550人の子どもがこつ然と姿を消している計算)とんでもない「中国の誘拐事情」です。

いくら人口が多いと言っても異常ですよね。

 

これには戦慄する「ある理由」があるのです。

中国では「児童の誘拐」が巨大なビジネスとして成り立っているというのです。なんとも恐ろしい話ですが、需要と供給...そういうことになります。

 

『最愛の子』は2008年に実際に起きた誘拐事件をベースにしたノンフィクションの社会派映画としての一面も持っているんですね。

本国中国では大ヒットすると同時に社会に大きな反響を呼び、「誘拐組織だけでなく、子どもを買う人間も重罪」になるように刑法を改正させてしまうほどの論議を巻き起こしました。

 

1979年から30年以上続いてきた「一人っ子政策」の廃止が昨年の暮れに正式決定した中国。

中国全土に根深く渦巻く「誘拐事情」に、この決定がどういう影響をもたらすのか...。とても気になります。

 

『インサイダー』然り、『ナイロビの蜂』、『ブラッド・ダイヤモンド』、『ファーストフード・ネイション』、『ボーダータウン 報道されない殺人者』然り・・・。

普通に生きていると中々気づくことがない社会の深い闇を、映画はわかりやすく丁寧に、そして感情をこめて教えてくれます。

是非、映画館に足を運んでみてください。

 

生みの親と育ての親の葛藤が胸に突き刺さる!映画『最愛の子』予告編

 

(C)2014 We Pictures Ltd.

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